気球は、人工衛星、ロケット、航空機に並ぶ重要な飛翔体であり、それらと比較すると格段に低コスト(1/10~1/1000)であることや、小型の気球であれば船上など様々な場所で実験可能な高い機動性を有することが特徴である。気象庁による定常的なラジオゾンデ観測から、成層圏大気のサンプリング、1トンクラスの観測装置による宇宙線や惑星の観測まで、気球観測は様々な用途・目的で実施されている。一方で、長期間(1か月以上)飛翔可能なスーパープレッシャー気球や通信量を飛躍的に増大させる可能性のある衛星コンステレーションNWなどが実用化され、これまで実現できなかった新たな気球観測の可能性が広がりつつある。そこで、最新の気球観測やその飛翔機会、および関連する機器開発の状況等を紹介・共有し、新たな気球観測の可能性を探る場として本特別セッションを開催する。
2024年5月に発生した宇宙嵐は、Dst<-400 nTに達する巨大なものであり、日本をはじめ世界各地でもオーロラが見えるなど大きな話題となりました。太陽、惑星間空間、磁気圏、電離圏、大気圏の太陽地球系システムの各観測、シミュレーションについての研究は、SGEPSSの多くのセッションに関わるため、セッション横断型の特別セッションとして提案します。この特別セッションにおいては、関連する観測やシミュレーション結果等の報告に加えて、例年レギュラーセッションに参加していない協賛会員や非会員から、この宇宙嵐に伴う社会影響などを含めた講演も広く募集することを計画したいと思います。なお、セッションでは、このイベントに限らず、第25活動周期に発生した他のイベントの講演も歓迎します。
地球・惑星内部電磁気学に関する、観測、実験、理論、シミュレーションなどに基づいた研究の発表と議論を行う。
地下比抵抗構造、磁気異常、自然電位異常、地震活動域・火山地域・海洋域での地殻活動・海流等による電磁場の励起に関連する諸現象、観測技術・装置、室内実験、データ解析手法、解析的・数値的計算手法などがこのセッションで扱われる具体的な内容である。特に学生・若手研究者の意欲的な研究発表・提案を歓迎する。
本セッションは、現在および過去の地球・惑星磁場、岩石磁気・古地磁気とそれらの応用に関する研究の発表と議論のための場を提供する。地球・惑星磁場の観測・解析、自然試料・考古遺物などによる過去の地球・惑星磁場の変動・変遷と起源、数値実験による地球・惑星磁場の発生・変動メカニズムの解明、岩石・鉱物・隕石などの磁気特性の測定と理論、地球表層および掘削試料の磁気的情報に基づく地球の気候変動やテクトニクス、地球・惑星の磁気異常観測と磁化構造モデル、これらを実現するために必要な測定技術・解析手法の開発などについての研究発表を歓迎する。
本セッションは大気圏と電離圏の合同セッションである。対象とする領域は、対流圏から熱圏までの大気圏と電離圏までを含む広い領域であり、これらの領域における諸現象ならびにその物理・化学過程を解明するための観測・データ解析・理論・シミュレーション等の幅広い発表を期待する。さらに、中性大気と電離大気との相互作用、地圏や磁気圏などとの圏間結合、緯度間、半球間をつなぐ議論に加え、新しい観測技術、研究手法、将来計画等の関連する話題についても歓迎する。
磁気圏の構造と変動、オーロラ現象を含む電離圏-磁気圏結合、太陽風-磁気圏結合、磁気嵐やサブストームに関連した現象などを対象として、人工衛星や地上からの観測、データ解析、理論、シミュレーションや機械学習などを用いた研究発表を募集する。 また、関連する技術開発やデータ処理技術、将来ミッションについての発表も歓迎する。
太陽と太陽風によって形作られる太陽圏中に生起する様々な現象についての研究発表を募集する。太陽風の加速過程を始め、ダイナミックな太陽活動に起因するコロナ質量放出(CME)や惑星間空間衝撃波などに対する太陽圏の応答、惑星間空間の磁場や太陽風プラズマの特性、ヘリオポーズ・終端衝撃波等の太陽圏境界構造、それを取り巻く星間物質(LISM)の研究、宇宙線などの高エネルギー粒子の物理についての研究報告を幅広く募集する。 惑星磁気圏活動へのエネルギー供給源としての太陽風や、そこに生起する波動現象等も含め、幅広いトピックについての発表を歓迎する。
本セッションは、地球・惑星に限らず、広く宇宙・天体のプラズマ環境に生起する様々な物理現象に関する議論の場を提供する。宇宙プラズマに直接関連する理論や観測に関するものだけでなく、実験室プラズマや宇宙飛翔体環境などについてのトピックも取り上げる。また、理論・観測・数値計算の手法に関する技術的な話題や、プロジェクトやデータ科学・計算科学に関連する話題についての講演も歓迎する。
惑星や衛星、小天体の、周辺空間・大気・地表・天体内部に関する分野横断的な研究発表の場を提供する。衛星観測、地上観測、観測装置開発、理論・シミュレーションに関する講演を広く募集する。具体的なテーマとしては、太陽風-電磁気圏相互作用、惑星気象、大気化学、大気散逸・進化、宇宙風化、磁気異常、ダスト、ダイナモなどに加え、宇宙機の周辺環境に関する研究も扱う。
BepiColombo・JUICE・MMX・Comet Interceptor・あかつき・MAVEN・TGOなど飛翔体による探査の進捗に関する講演や、系外惑星など将来の惑星圏研究を見据えた萌芽的な研究も歓迎する。
太陽から地球圏・太陽圏に至る幅広い領域(太陽地球圏)は、太陽から惑星間空間、地球の磁気圏・電離圏・地球圏(大気・海洋・雪氷・生物圏)からなる複合システムであり、太陽地球圏における短期変動(宇宙天気)および長期変動(宇宙気候)の解明には各領域をまたぐ分野横断型研究が必要となる。
本セッションでは、太陽地球圏変動の概況把握や予測・予報に繋がる基礎的研究、観測・解析手法、予報システム、モデル提案の萌芽的研究・開発進捗だけでなく、太陽黒点、地磁気、宇宙線、歴史的文献のような多種多様な長期データの活用、気象・気候データとの融合など、分野横断型の研究発表を募集する。また、地球周辺の宇宙環境変動に伴う人工衛星やスペースデブリの軌道変動、地磁気誘導電流、通信、衛星測位への影響など、宇宙天気じょう乱の社会的影響の観点からの発表も募集する。宇宙利用の拡大に伴い、宇宙天気の社会的重要性は増しており、今後を担う学生・若手研究者の意欲的な研究発表や提案を歓迎する。
なお、2024年5月に発生した巨大宇宙嵐に関して特別セッションが開催されるため、当セッションでは該当イベント以外の幅広い対象の投稿を歓迎する。
科学研究における「データ」は、単にその整備・利活用を図るだけのものではなく、論文とならぶ学術業績の評価対象であり、更なる知を生むため次世代へ引継ぐべき人類の知的資産とみなすべきものである。データマネジメントは、データ提供者・データリポジトリ運営者等の貢献およびデータの帰属を明示して、より公平な功績評価を行う上でも重要とされ、今後の科学システムの一部となりつつある。また近年は、観測装置の高性能化や記録デバイスの省電力化・廉価化などにより、かつてと比べて飛躍的に大量のデータが蓄積され、新たなデータ処理方法やデータ解析手法が導入されている。このセッションではこれらのデータ、情報に関する調査、検討、研究開発などを「宇宙地球情報学」ととらえ、当学会の本来分野的な視点とともに、研究者とデータを取り巻く状況把握、今後の研究データマネジメントやデータシステムに関する方法論・実践事例やその調査研究、構築された大規模なデータベースやそこから機械学習などのデータ科学的手法によって得られる新たな科学的知見についての発表や提案を歓迎する。